2025年度から、多子世帯(子どもを3人以上扶養している世帯)を対象とした大学無償化制度が始まりました。
多子世帯を持つ方は子どもの人数分の学費を負担しなければならないので、多くの方が負担を減らすために多子世帯大学無償化制度へ申し込んだのではないのでしょうか?
しかし、残念なことにさまざまな理由から制度の対象外となり、不採用になってしまう方も多くいたようです。
この記事では、「多子世帯大学無償化で不採用通知!理由はなぜ?対処法や再申請についても!」というテーマについて解説していきます。
なぜ多子世帯大学無償化が不採用になったのか?
なぜ多子世帯大学無償化が不採用になってしまったのでしょうか?
その理由として主に考えられるものは2つあります。
1.多子世帯として認定されなかった
令和7年度(2025年度)に大学等へ入学した後に申請する(春の在学申込)場合、多子世帯として確認する際に使用する情報は「令和5年12月31日」時点のものとなります。
つまり、その時点で多子世帯(子どもを3人以上扶養している)として認定されなかった場合、多子世帯大学無償化の対象外となり、不採用となってしまいます。
また、「子どもを3人以上扶養しているか」というところが採用するかどうかを決める点の1つとなるため、以下のような場合でも不採用になってしまうとのことでした。
例)(令和5年12月31日時点で)子どもが3人おり、そのうち1番上の子どものアルバイトによる収入が103万円を超えていたため、扶養から抜けてしまっていた
この場合、扶養している子どもの人数は「2人」としてカウントされるため、多子世帯大学無償化制度の対象外として認定されてしまいます。
ただし、高校在学中(高校3年生の時)に申請する場合・「秋の在学申込」に申請する場合は、「令和6年12月31日」時点での情報を確認として使用するとのことでした。
2.成績要件を満たしていなかった
次に、多子世帯大学無償化制度の対象となる子どもが「成績要件」を満たしていなかった場合も、制度の対象外となり不採用となってしまいます。
この「成績要件」は、採用時の学年によって基準が変わります。
具体的には、以下の通りです。
高校3年生の子どもの場合(予約申込):高校2年生(申込時)までの評定平均値によって変わります。
3.5以上の場合)進路指導等によって学修意欲を確認する
3.5未満の場合)レポートや面談等によって学修意欲を確認する
以上の段階を踏んだ上で判断し、採用の可否が決まります。
また、高卒認定試験を受けた上で大学へ進学しようとしている子どもの場合は、高卒認定試験を受験・合格した時点で学習意欲があるものと判断するとのことでした。
大学1年生の子どもの場合(在学申込):次の1~4の要件のいずれかに該当することで対象となります。
2.入学試験の成績が入学者の上位1/2以上であること
3.高卒認定試験の合格者であること
4.学修計画書の提出を求め、学修の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること
大学2~4年生の子どもの場合:次にあげる要件のどちらかに該当することで対象となります。
2.次のいずれにも該当すること
a.修得単位数が標準単位数(※)以上であること
b.学修計画書の提出を求め、学修の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること
※標準単位数=卒業必要単位数/修業年限×申請者の在学年数
ただし、在学途中において上記のどちらかに該当する場合でも、在学中の学業成績等が適格基準において「廃止」に該当する場合には、不採用となり多子世帯大学無償化を受けることができなくなります。
理由(認定要件)の出典元:文部科学省による多子世帯大学無償化制度の説明資料
多子世帯大学無償化制度に所得・収入についての要件は存在しないため、上記の点を確認することで不採用通知の理由がわかるかもしれません。
また、以下のページも確認すると参考になるでしょう。
多子世帯大学無償化が不採用になったあとの対応は?
多子世帯大学無償化制度の対象外となり、不採用になってしまった場合はどう対応すればよいのでしょうか?
それぞれの場合の対応方法については、以下の通りです。
(多子世帯大学無償化制度の再申請の方法は、次の欄に記述しています。)
・「世帯要件」により不採用になった場合
多子世帯大学無償化制度の「秋の在学申込」にて参照される世帯情報は「令和6年12月31日」時点のものです。
そのため、子どもの収入額により不採用になってしまった場合は、上記の時点で再び扶養に入ることができていれば、再申請により採用となる可能性があります。
・「成績要件」により不採用となった場合
申込時の学年によって、対応方法が変わってきます。
大学1年生の場合)「学修計画書」を書き直すことで、「秋の在学申込」で再申請した場合に採用されるかもしれません。
「学修計画書」から学修意欲や目的等が確認できるかどうかの基準は、大学等によって異なる可能性もあります。
ただ、文部科学省により大学等向けに書かれた「学修計画書の確認ポイント」についての資料は、誰でも確認することができます。
以下から確認できるため、もし作成において困った点や迷っている点がある場合は確認してみるとよいかもしれません。
大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き(大学等向け)
大学2~4年生(=入学後1年以上経過している)の場合)これに当てはまる場合は、先ほどあげた大学入学後の成績が要件として確認されます。
この場合、もし「成績要件」により不採用となってしまった場合は、残念ながら「秋の在学申込」に申請しても結果は変わりません。
その理由は、この場合の「成績要件」は半年ごとではなく、1年ごとに確認されるからです。
※修業年限が2年以下の学校(専門学校等)の場合は春学期(半年分)の成績も確認対象に含まれるため、春学期のうちに成績要件を満たすことができれば「秋の在学申込」にて採用される可能性があります。
ですので、今年度のうちに成績要件を満たすことができれば、来年度に再申請した場合採用されるかもしれません。
多子世帯大学無償化が不採用になってしまった場合の対応は、現在のところ上記のものが考えられるでしょう。
一度不採用になった場合も諦めず、先ほどあげた理由や対応を確認し、再申請してみるとよいかもしれません。
多子世帯大学無償化制度の再申請の期間・方法は?
まず、今年度の多子世帯大学無償化制度の募集では、申請漏れが多く発生したことから、文部科学省が全国の大学に再受付をするように指示を出していました。
そのため、5~6月にかけて多くの大学が追加申請や再受付の期間を設けたようです。
しかし、追加申請や再受付の期間は大学によって異なるため、既に終了している可能性もあります。
また、既に申請されている方の再申請はできません。
原則受付期間外の再申請はできませんが、「秋の在学申込」にて追加申請の募集があった際には再申請できる可能性があります。
再申請の方法については、以下の通りです。
1.大学の学生・奨学金窓口で相談、もしくは必要書類を入手する
申請期間・必要書類は大学等によって異なるため、必ず窓口で確認するようにしましょう。
また、申請について不安がある場合は相談することも手です。
2.JASSO(日本学生支援機構)の給付奨学金に申請
「多子世帯大学無償化制度」の申請にはJASSOの申請フォームを使います。
「秋の在学申込」へ申請する際にも上記のフォームを使用するため、確認しておきましょう。
3.必要書類の提出
大学やJASSOが指定した書類を提出しましょう。
この際に、指定された書類の漏れがないように必ず確認することをおすすめします。
4.審査および結果の通知
提出後、大学とJASSOの審査がされた後に結果が通知されます。
必要書類のほか、不採用となった理由が解消されているかも必ず確認しましょう。
再申請の際に確実に採用されるためにも、採用要件や必要書類の確認は怠らず行うことをおすすめします。
まとめ
今回の記事では、「多子世帯大学無償化で不採用通知!理由はなぜ?対処法や再申請についても!」という内容について解説しました。
多子世帯において、子どもの学費というものは大きな負担になりうる要素なため、それが理由で学修を諦める子どもも多いかもしれません。
この制度を利用することによって、より多くの子どもたちが高等教育を受けられるようになるといいですね。